富山地裁、原告の訴えを退ける


2022年、「世界平和統一家庭連合(家庭連合=旧統一教会)と関係を断つ」と表明した富山市の藤井裕久市長の発言や、その後、富山市議会が同様の決議を可決したことは、人権侵害と名誉棄損にあたるなどとして、同教団の信者、安田慎さん(仮名)と、一般社団法人富山県平和大使協議会(鴨野守代表理事)がそれぞれ富山市に対して損害賠償などを求めていた裁判で、富山地方裁判所は2024年10月9日、訴えを退ける判決を言い渡しました。

 

富山地裁の矢口俊哉裁判長は、市長の発言や市議会の決議は、「国家賠償法上、違法であるとは認められない」とした上で、「教団の信仰や儀式などの宗教的な側面に着目したものとはいえず宗教ヘイトに当たるとは認められない」との判断を示しました。 

 

判決後の会見で、原告は「(市長の発言や決議によって)これまでの活動が一切できなくなった。法的に問題がないという判断に関しては全く承服できない」と述べ、控訴する姿勢を示しました。

 

原告側代理人、德永信一弁護士のコメント 

「議会決議や市長発言が名誉毀損となる可能性を認めながら、一般人と異なる基準で違法性を否定するなど、宗教法人たる家庭連合に対するマスコミの扱いや政党の動向をもって原告信者らの政治的自由の制約を正当化し、差別的扱いを認める本判決は、宗教を理由とする差別(宗教ヘイト)を肯定するものであり、人権擁護の砦としての使命を忘れたものと言わざるを得ない。直ちに控訴して闘う」